幻想的な作風で人気を博した作家の泉鏡花(1873〜1939年)が愛した「摩耶夫人(まやぶにん)像」が、遺族から松竹に寄贈された。歌舞伎女形の坂東玉三郎さんが松竹経営の歌舞伎座(東京都中央区)で度々、鏡花原作の舞台に出演してきたため。松竹は公開方法を検討している。
摩耶夫人は釈迦(しゃか)を産むとすぐに亡くなったとされる女性。鏡花は9歳で母を亡くした翌年、行善寺(石川県白山市)の摩耶夫人像を見て母の面影を重ねたという。後には仏師に像を作らせ、厨子(ずし)におさめて慈しみ、生涯にわたって信仰した。そのいきさつを小説の「夫人利生記」(1924年7月発表)にも記している。
像は鏡花のめいで養女の名月さん(2008年死去)に引き継がれた。名月さんは、玉三郎さんが出演した鏡花原作の舞台「天守物語」「海神別荘」「夜叉ケ池」などに敬意を払っていた。そのため、遺族が松竹への寄贈を決めた。
像は約25センチ。色鮮やかで、懐に赤ん坊の釈迦を抱えている。
1月末に対面した玉三郎さんは「繊細で親しみやすい像ですね。鏡花先生が執筆の際におそばに置いていらしたお気持ちもよく分かります。大切に保管してほしい」と語った。【小玉祥子】
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